真空式下水道システム

西日本技術の環境調査員

2010年10月06日 07:28



全国の下水道処理人口普及率は73.7%(平成21年度末現在)に達しましたが依然、地方公共団体における苦しい財政事情など下水道の普及に対する環境は厳しい状態が続いています。今回は、低コストで機動的に下水道整備が図れる方法の一つである真空式システムを紹介します。

真空式システムとは、下水道管内を真空にし圧力差を用いて汚水を収集するシステムで①真空弁ユニット②真空下水管③真空ステーションの3つで構成されています。

①真空弁ユニット
各家庭から流入する汚水量が、ある一定量になると真空弁が開き汚水は真空下水管内に吸入されます。
②真空下水管
汚水は、空気と一緒に吸入され真空下水管内で攪拌されながら真空ステーションに運ばれます。
③真空ステーション
真空を発生させ真空下水管から汚水を吸入し一時貯留します。その後、圧送ポンプや自然流下によって近くの下水管や処理場に排出できます。




真空式システムは①自然流下システムの問題点を改善し②安全性③経済性に優れています。

①自然流下システムの問題点を改善
管径は通常の下水管より小さく地盤の起伏に沿って浅い掘削幅の中に埋設することができるので周辺への影響を最小限に抑えます。また、ほぼ水平に布設できるので地下水位の高い場所でも工事が可能です。

②安全性
真空下水管は、常に真空状態を保っているため汚水が外部に流出する危険性はありません。また、真空により汚水を高速で強制収集するため管内は常に洗浄され閉塞や堆積が起こりません。

③経済性
浅層埋設が可能なため土工、土留工費が軽減できます。また、電源供給を必要とするのは真空ステーション1箇所のみで真空弁ユニットは電気を必要としません。

このような特徴から①地形や地盤に問題がある地域②農山漁村などの点在する集落③大規模工場内の排水設備等には真空式システムが有効と思われます。


                                 技術課:シルバーズレイリーさん

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