『カニ紀行』

西日本技術の環境調査員

2010年11月28日 07:28




砂山にそよぐ潮風、少年時代は明けてもくれても「天草の海」で遊んでいた記憶が今でも鮮明に残っています。

家から海まで300メートル足らず、海は遊び友達でした。

初夏になると潮が引いた砂浜に素足で立ち、海に向かって釣り糸をたれキスつりに興じたものでした。

釣りに行くと決まって浅瀬で目につくのが「渡り蟹」でした。学名「ガザミ」のこのカニは潮の干満時に泳いで渡るので「渡り蟹」と聞かされました。

家でも真っ赤にゆでた蟹がしばしば食卓に上がりました。

海と川の境界付近では石積みの堤防の隙間に潜む「モクズカニ」を捕って遊んだ記憶があります。


時が経ち福井県で最初に越前蟹(ズワイカニ)を見た時は衝撃でした。

大きさもさることながら生きているときは薄い茶色で、しかも甲羅がごつごつして最初は深海に生息する変な蟹くらいにしか感じませんでした。

先入観は恐ろしいもので最初に食したときはその姿・形のせいかあまり感動はありませんでした。

その後衝撃を受けたのは北海道の毛蟹です。最初の北海道旅行で宿泊した旅館で出てきたのがこの毛蟹で、蟹の甲羅全身に毛が生えていて、どう考えても不思議でした。

少し食べにくい欠点はありますが『渡り蟹』を越えるものを感じて次の日にはわざわざ地元の魚屋に立ち寄り購入し、二日続けて食べたほどでした。


その後、北海道の友人が蟹好きの私のために毛蟹をはじめタラバカニ、花咲かに(何れもヤドカリの仲間)を送ってくれました。

それぞれ美味しくいただきましたが、いまだ賞味していないのは高足カニだけです。

先日越前海岸で越前かにを食べることが出来ました。タグ付の地物でしたが何か感動はいまひとつでした。














カニの種類は多けれど、独断と偏見ではありますがやはり自分が生まれ育った郷里「天草」で食べる『渡り蟹』とりわけ『姫戸カニ』の味が一番の気がします。

 

                                        総務部 日曜レギュラーおじさん

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