中国資本が日本の水源地を買収?
昨日、社内の人から「中国が水源地の土地を買いに来ているらしい。ネットを見て」と連絡がありました。記事はこちら→
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n1.htm
記事に書かれている場所は、多少仕事をしていたところですから、ある程度の状況は把握できます。
記事の内容は「中国本国の水需要を満たすために、日本の水源地を物色」
<何のために?>
何のために山を買うのか?
結論から先に言えば、「ミネラルウォーターの水源」探し。中国国内で販売されている「水」は外国資本であっても蒸留水が多く、ミネラルウォーターは貴重なものです。
実際、記事に出ている場所ではミネラルウォーターを製造していたり、その候補地に挙がっていたりするところです。これは中国資本だけではなく、日本の資本も外国(特に中国)向けに輸出を検討しています。したがって、輸送距離が長い東日本は候補地から外れるのです。
<事業として成功する?>
中国資本が日本の水源地を買占めミネラルウォーター事業として成功できるか?
これも結論から先に言えば「成功しません」
なぜか?
場所によって、少し内容が異なるのですが大きく5点にまとめることができます。
① ほとんど水源の候補地では事業化できる水量には不足しています(記事に記載されている場所の水量は豊富です) また、水源地を買っても「河川水」は公共物ですから、勝手に取水することはできません。
② プラント用地として10ha以上の平地は必要ですが、記事に載っている場所では困難に思える
③ 輸出するためにはトラック輸送できる道路と港が必要です(日本は数多く港湾を整備しながら、ほとんど国際定期便がないのも実態)
④ 用地確保、水量確保のために人為的な大規模の地形の改変(早い話、工事)が必要です。しかし、工事にあたり反対運動がでることは必至。また、水源地は森林があって初めてきれいな水が供給されるのです。
⑤ ブランド不足。日本では地名をはずしたミネラルウォーターも出回っていますが、記事に載っている地名では、ブランド大好きの中国では苦戦します。「富士山近くの名水」とでもネーミングしますか?
中国でミネラルウォーターを売るならこの3要素を忘れてはいけません。
ヒストリー(歴史)、ストーリー(逸話)、サントリー(三得利)?が揃わなければミネラルウォーターは売れません。
関連記事