2011年05月10日
どっち『つ』か『づ』‥?
春はキス 夏鮎を追い 秋はハゼ 冬ワカサギで 一年が過ぎ
季語だらけで、短歌というよりは釣り狂いの狂歌でしょうか?!
これからの季節は何と言っても鮎釣り。
若い頃のように、休みは全て鮎の友釣り‥は無理ですが、暑過ぎない日を選んで今年も通うつもりで準備を進めています。
去年みたいに連日35℃オーバーなんて暑さになるとチョット‥川に漬かっていても暑過ぎて体がもちません。熱中症で倒れかけたことが過去に有ります。
30年前は夜に河口のスズキを狙い、夜明け前から鮎の川に移動して、日暮れまで釣るなんてことも平気で出来たんですが‥
鮎釣りの中でも、長竿でオトリを操る友釣り専門です。
9mの竿を使い、更に9m以上の、髪の毛よりも細い道糸の先のオトリの動きに神経を集中し、縄張りを持つ野鮎がオトリを襲うときの異常を感じるために常に緊張感を保ちます。
感覚を研ぎ澄まし、全神経を集中し、1㎝単位で穂先を動かして誘いを掛け、野鮎を挑発します。
“来る!” 一瞬の緊張の後、目印がガガガッ!と引き込まれ、竿を持つ手に心地よい野鮎の引きが‥
魚体の寸法以上に良く引くのが鮎の特徴です。
取り込んでふっと緊張をほぐした途端に、瀬を走る水の音、やかましく鳴く蝉の声、コロコロと暑さを忘れさせてくれる涼しげなカジカ(蛙)の声、道を走る車の音‥いろんな物音が一気にドーッと耳に入ってきます。
集中すると、本当に一切の物音も暑さも悩みも、全てが消えてしまいます。
と、ここまでを読んでいただくと単なる釣りキチの戯言ですが、ここでちょっと国語の問題を一発。
『鮎釣り』、『友釣り』この二つの言葉を声に出して読んでみてください。
『あゆづり』?それとも『あゆつり』? 『ともづり』?まさかの『ともつり』?
『鯛釣り』『(鯛の)船釣り』
『アジ釣り』『(アジの)サビキ釣り』
『黒鯛釣り』『(黒鯛の)夜釣り』
『キス釣り』『(キスの)投げ釣り』
それぞれ、どう読みますか? 全部同じ法則性があります。
答えは
鮎釣り→あゆつり 友釣り→ともづり
鯛釣り→たいつり 船釣り→ふねづり(ふなづり)
法則に気付いてくれましたか?
対象魚(魚名)には○○つり。 釣り方(方法)には△△づりという風に、釣り人は習慣的に『つ』と『づ』を使い分けています。
言語学者や国語学者がなんというかは知りませんが‥
この使い分けが明確に出来れば『ふなづり』は船からの釣り。『ふなつり』は鮒を釣る事だとすぐに分かります。
釣りマスコミでも無知な編集者は此の法則をご存じ無くて『ルアーつり』や『トラウトづり』なんて書き方をしているのを見ることがあります。
『ルアーつり』って、根掛かりで池や川に沈んでいるルアーを釣り上げること?と突っ込みたくなります。
『トラウトづり』ってトラウトを餌にして、南米の大ナマズでも釣るのでしょうか?
釣りの結果を『釣果』と書いて『ちょうか』と読みますが、これも『つり果』と書いてあるのを見ます。 『つりはて』って何やねん#!
活きた鮎を囮にして釣ったり、尺ブナ或いは3間竿(5.4m竿)、貫目釣り(3.75kg)のように尺貫法が生きていたり‥と、釣りには日本の文化が今も息づいています。
時代とともに言葉は変化するそうですが、せめて趣味の世界くらいは伝統が生き残ってほしいものです。
分析1課 アユより鮎
Posted by
西日本技術の環境調査員
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07:28
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釣り