2011年07月12日
持続可能な生活
今や私たちのライフスタイルは、環境や地域社会に大きな影響を与えており、集団あるいは個人の持続不可能な選択が、人々の福祉向上を阻み、大規模な環境危機(気候変動、資源不足、公害など)を引き起こす危険性が指摘されています。
一方、効率的なインフラと個人の行動によって実現するサステナブル・ライフスタイルは、天然資源の使用、排出、廃棄、公害を最小限に抑え、人びとの公平な社会経済的発展と進歩を実現する上で重要な役割を持ちます。
サステナブル・ライフスタイルの創造とは、どのように生活し、物を購入し、消費するかという日常生活を考え直し、他人との交際、交換、共有、教育、アイデンティティの構築方法を変えることを意味します。
国連環境計画(UNEP)は、世界20 カ国8,000 人のさまざまな社会・経済環境に生きている若者の声を聞き、彼らがサステナブル・ライフスタイルをどのように認識し、思い描き、形成しているかを探ることを目的に「サステナブル・ライフスタイルに関するグローバル調査(GSSL)」を実施し、その声を集めた成果物「Visions for Change - 変化へのビジョン:サステナブル・ライフスタイルに関する有効な政策の提言」を発表しました。
詳しくは、ここへhttp://www.nies.go.jp/whatsnew/2011/20110615/hokoku.pdf
この提言では、若者をよく理解し、教育し、若者の能力を高めるために、①目指すべき新しいビジョンを与え、②行動の選択肢を提案し、③信頼と参加を促すことが示されています。
つぎに、その概略を示します。
1. 進歩の新しいビジョンを与える
GSSL の結果では、過半数の回答者が貧困と環境悪化が世界で最も重要な問題であると認識しているにもかかわらず、一人ひとりの行動や利益が社会全体での行動や利益とどのように結びついているかが明瞭になっていないことが浮き彫りになりました。
若者は自分たちの生活に満足しつつも、複雑で不安定な世界に住み、大きな危機にたびたび直面しているため、強い不安を示し、経済、社会、個人、環境のすべての面において安心感を求めています。
サステナブル・ライフスタイルを実現する機会や対策を通じて進歩という肯定的なビジョンを浸透させ、環境、経済、社会の総合的な開発のもたらす明確なメリットを十分に伝える必要があります。
2. 行動の選択を可能にする
その上でこの報告書では、具体的な解決策を示すことによって前向きなビジョンを作り出すことができるとしています。その解決策を開発、実施するために、7つの提言が示されました。
3. 信頼と参加を確立する
GSSL の結果では、若者は自分の住む地域について好意的に受け止めていても、その社会に対する信頼度は極めて低いことが判明しました。これは、治安の問題、社会的孤立、都会化、過渡的なライフスタイルなど、多様な要因や文化的習慣によると考えられます。
その一方で、若者は自分たちの住む環境の改善に参加し、役立つことに意欲的であり、このためには日常生活をサステナブル・ライフスタイルに適合させる機会をもっと増やす必要があることが明らかとなりました。
社会的、地域的交流に基づく持続可能な生活への転換には、信頼と連携の構築が不可欠です。
写真と本文は「Visions for Change - 変化へのビジョン:サステナブル・ライフスタイルに関する有効な政策の提言」を引用しています。
環境分析部 Y.T
Posted by
西日本技術の環境調査員
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07:28
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