2009年02月12日

小さな水道の広域的な運営管理


㈶水道技術センターが「小規模水道の運営管理に関する検討調査」をまとめています。
小規模水道は施設整備後、30~40年経過しており、老朽化によって施設の更新の必要が求められています。しかし、施設更新費用の捻出ができず、早急な経営基盤の強化が求められています。

このため、モデル地区(青森、新潟、兵庫)を選定し、水道事業体の枠にとらわれず共同で施設管理を行い、遠隔監視システムの導入や民間への業務委託を行った場合の費用比較を行っています。
滋賀県下の水道はもともと簡易水道事業から出発したものが多く、行政区域や事業体の枠にとらわれない管理運営が経営基盤の強化に結びつく場合もありそうです。
水道を使う側(需要者)にとっても、料金の値上げに結びつきませんから、ありがたい話です。

<現状と共同管理の比較>① 維持管理費用は、共同管理の方が20~33%安くなり、民間企業に委託すると更に4~10%安くなる。
② 遠隔監視システムは施設点検時間を短縮でき、業務の効率化を図ることができる。
③ 管理拠点が減少することによって、共同管理のほうが移動時間は長い。

<管理拠点の減少対策>
問題点として挙げられているのが、管理拠点が減少することによる移動時間の長さ。水源事故、水質事故、浄水場の事故など、水道のトラブルにすばやく対応するのが基本。
このため、現地管理人、現地企業、管工事共同組合による協力体制が危機管理のうえで大切としています。3地区についてケーススタディを行っていますが、この事例が最も効率の悪いケースですよ。

<兵庫県の事例>
兵庫北部のいわゆる但馬(たじま)と呼ばれる、市町村合併後の豊岡市、養父市、朝来市、加美町、新温泉町の水道事業を共同管理した場合を検討しています。現状の給水人口は20万人、5水道事業、71簡易水道事業を共同管理するケースです。
この地域を共同管理すれば維持管理費は20%削減できるとしています。青森の事例では30%超。
さらに民間委託で4%の削減。

<今でもできる>
合併によって誕生した新市は、旧町村の管理区域を踏襲して水道を管理運営しています。
旧町村の管理区域にとらわれない運営は、今でもできます。
さらに、遠隔監視システム整備や管理システムを見直せば、もっと維持管理費は低減できます。
この場合の問題は、遠隔監視システムの整備費用の捻出ですね。


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Posted by 西日本技術の環境調査員 at 07:28 │Comments( 0 ) 水道
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