2008年09月16日
日本の環境技術を力に
世界的に評価されている日本の環境技術はハイブリッドカー、海水の淡水化、石炭ガス化発電、エアコン等数えると限がありません。そこで出てくる考えが「環境の技術を力に変える政策」。しかし、ここにはいくつかのハードルが待ち受けています。今日はこの問題を整理してみましょう。
<セクター別アプローチ>
まずはポスト京都議定書(2013年以降の温暖化対策の枠組み)。EU(欧州連合)が提唱しているのが二酸化炭素の総量削減。排出削減効果が明らかな日本は、厳しい削減努力が求められることになります。そのため、日本は生産高当たりの温室効果ガス排出量を示す原単位の目標を設定し、削減目標の達成を目指すセクター別アプローチの提案をしています。このセクター別アプローチは先進国も途上国も同じ土俵になることから、補完的にセクター別アプローチが取り入れられる可能性はあります。
<法規制>
日本国内でも同じ現象を示すのですが、一部の企業を除き、法規制が行われなければ環境への投資は行われません。発展途上国であれば、環境保護の制度すら確立しておりません。そのため、日本でも発展途上国で環境問題に携わる人材を育てようとしています。今後、途上国の人材教育が日本の市場を拡大していきます。
<日本の環境技術は高価>
日本国内の環境市場は飽和状態。この状態にあっても国内企業の新規参入が相次ぎます。したがって、環境技術の一部は海外市場へと展開を見せることになります。ここで問題になるのがコスト。日本の技術を100点とすると、発展途上国のニーズは60点でよいのです。この40点差がコストに跳ね返り、相手国が想定する価格の3倍程度になることもしばしば。
北京五輪の開催中、公用車500台は燃料電池によって走っていました。これは上海製フォルクスワーゲンをベースに中国式に改良されたものです。走行距離は300km、最高速度時速150km。日本の60~70㌫の性能ですが、価格は10分の1。
<戦略が立案できる人材>
これが一番の問題と考えています。北京五輪では直前に出された野球のタイブレーク制度、お家芸だったスキーのジャンプでは板の長さが制限等、スポーツでは自国に有利なようにルールは変更されます。日本人はこれらに怒りを表しますが、世界では普通に行われることです。環境の世界も同じで自国に有利なようにシステム構築を行いますから、先に有利なシステムを構築するか、または対応ができる人材が必要です。
セクター別アプローチ等のルールを利用して技術を広めて日本に国益を与え、その国益によってさらに投資を促進するシステムが構築できる人材が必要です。このためには環境技術だけではなく、経済や社会に精通した人材を育てることが大切です。
Posted by
西日本技術の環境調査員
at
07:28
│Comments(
0
) │
環境