2011年09月20日
瀬田川の激流
通勤電車の窓より時折、琵琶湖の水面を眺めます。約3ヶ月前のことですが、水面が波を立てて流れていました。
JR琵琶湖線の鉄道橋は瀬田川の起点から約250m下流にあり、琵琶湖というより瀬田川ですから、川のように流れるのは当然ですが、その日の流れは通常とは比べものにならないほど速く、大きく、大げさに言えば「激流」でした。
なにが原因であろうと思い、国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所のホームページを見に行きました。
「激流」と関係のありそうなデータが下の図です。平成23年6月の琵琶湖の水位のほかに、降雨量などが表示されています。
私が「激流」を見たのは6月3日ですから青線で示された水位が低下し続けている時です。
しかし2日前の約20mmの降雨(上辺の棒グラフ)を流下させるのに、「激流」の必要はないように思われました。
そこで同じ画面の「琵琶湖の水位管理について」を見ました。
「琵琶湖の水位は、非洪水期(10月16日~6月15日)には+0.30m、洪水期(6月16日
~10月15日)には-0.20m及び-0.30mを上回らないようにしています。」
管理水面が図では赤線で示されていますが、私が「激流」を見た6月3日は洪水期の管理水面に変更する期限の16日を目前に控えて、水位を低下させている真っ最中だったわけです。
6月1日から6月10日までの水位低下は約60cmです。この水位差の60cmはどの位の水量に相当するのか?以下に計算します。
水位差に相当する水量 ≒ 琵琶湖面積 × 水位差
≒ 674 k㎡ × 60cm
≒ 4億440万m3
4億m3 !!! 想像を絶するというか、捉えきれない水量です。
さてこの4億m3 の水を10日間で琵琶湖から流出させるには瀬田川洗堰の必要な放流量は? 調べてみるとこの期間の最大放流量は700m3/秒でした。通常の感覚では、これも捉えきれない水量です。
このようにして琵琶湖は湖岸周辺の浸水被害と、宇治川や淀川の下流域の洪水を防ぐという重大な使命を果たしています。
しかしながら、このような大きな水位差は、「琵琶湖の水位管理について」で述べられているように、生物の生息・生育環境にも大きな影響を与えており、今後とも十分な検討が必要です。
若狭っ子
Posted by
西日本技術の環境調査員
at
07:28
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琵琶湖