2008年09月11日

期待される牛糞ガス


牛糞、下水道から発生する汚泥、ゴミなどの廃棄物を発酵させてと都市ガスと同じレベルの「バイオガス」を作り出す技術が注目されています。以前、下水道やし尿の世界では多量に排出される汚泥を処理処分するための技術でしたが、エネルギー効率の悪さからごく一部の施設しか導入が進んでいませんでした。しかし、現在、「バイオガス」は技術革新とともに、原油価格の高騰によって採算ラインに乗るようになってきました。
食糧であるトウモロコシやサトウキビから作られるバイオエタノールとは異なり、廃棄物の再利用である「バイオガス」に抵抗感はありません。また、廃棄物から発生するメタンガスは二酸化炭素の21倍の温室効果があり、これも同時に減少するのですから非常に大きな期待が持たれています。

<エネルギーの地産地消>
都市ガスの未普及→プロパンガスの利用→都市ではない→牛や馬がいる→バイオガスの製造→地元消費
単純にこの図式が当てはめられないとしても、プロパンガスをバイオガスに変えることは可能ですね。食糧と同じエネルギーの地産地消システムが完成します。地域で育てている家畜の糞、農業集落排水処理設備の汚泥、生ゴミ、道路の雑草等を利用した地域エネルギーの地産地消(全量は難しい)を考えたいものです。事業主体はもちろん民間で。

<リンも回収>
肥料の三要素のひとつはリン。このリンはアメリカが戦略資源に位置付けしてすでに輸出禁止。中国もアメリカに追従。資源獲得競争の余波です。したがって、リン鉱石は2倍以上の価格に上昇。今までは下水道汚泥の脱リン技術が注目されていましたが、現在はリンの回収技術が注目されています。
ある大手電機メーカーが開発した「オゾン+アルカリ処理」という技術は、メタンガスの回収とともに、汚泥中に蓄積されたリンの90%以上を回収します。マクロで見るとリン鉱石の輸入をこれまでの約3分の1にまで減らせると期待されています。ただし、個人的に言えば、このシステムは高価ではないかな?

<牛のゲップはメタンガス>
オーストラリアやニュージーランドでは、反すう動物の牛やヒツジのメタンを含むゲップが温室効果ガスの排出源となっています。とりわけ、ニュージーランドでは排出量負荷の43%とされています。
牛のゲップを「地球温暖化対策の推進に関する法律」の排出係数一覧表から探し出すと「82kg―CH4/頭・年」となっています。メタンの温暖化係数は21(二酸化炭素に換算すると21倍)ですから、牛のゲップだけで二酸化炭素に換算すると1頭あたり年間1.7トンになります。参考:2006年度の世帯あたりの二酸化炭素排出量は5.3トン


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Posted by 西日本技術の環境調査員 at 07:28 │Comments( 1 ) 環境
この記事へのコメント
資源の大切さが解ってきました
元々資源の少ない我が国において
このような多くのものがあるなんて。

ブラジルではとうもろこしを燃料に
日本でも多くの資源の再利用を・・・。
Posted by ふじ・愛サン at 2008年09月11日 08:19
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