2009年01月03日
金閣・銀閣に続くチタン閣寺の建立
<金閣寺・銀閣寺に続くチタン閣寺>
「京都の金閣寺と銀閣寺の間に、21世紀のチタン閣寺を建立できないか」と東大生産技術研究所の先生は提案しています。これは京都の観光振興に力を入れようとしているのではなく、レアメタル資源の効果的な備蓄策のアイデアを示しています。
レアメタル(希少金属)は存在量の少ない金属、高品位の鉱石がない金属、容易に製錬できない金属などの総称です。ごく微量混ぜると半導体や電池の性能が飛躍的に向上するので、レアメタルは“産業のビタミン剤”とも言われています。携帯電話、液晶テレビ、ハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車のバッテリーなど、ハイテク関連機器には欠かせない金属です。
<レアメタル回収技術>
レアメタルは全世界の 30 %近くが日本で消費されていますが、そのほとんどを輸入に頼っています。石油に比べると市場規模が小さく、輸出には国家の統制があり、投機筋の思惑で価格が暴騰することもあります。
これに対して、わが国でも温泉や海水からレアメタル回収の研究が進められています。私の知るところでは特殊な吸着剤やバクテリアを用いて温泉や海水から回収する方法と海底の熱水鉱床を探し当て回収する方法です。
現在のところ、着手したばかりの技術ですから、今後、大きな期待の持てる資源開発です。
<都市鉱山は?>
忘れていけないのが都市鉱山からの回収。一番現実的に思えるのですが、専門家は「金、銀、銅は、銅の製錬で簡単に取れるが、レアメタルは製錬にかけると残渣(ざんさ)物に入ってしまい取り出せない。レアメタルを優先すると、電子基板などには有害物質も多く、適正処理には費用がかさむ」(DOWAエコシステム:東京)
「端末の液晶に使われるレアメタルは、今の技術では回収が難しい。それなら、再生部品としてリユースする方が、今は環境にもいい」(コネクトリプロ:東京)が現状のようです。
<レアメタルは意外に身近>
私たちの会社が行っている水道水の水質検査項目にニッケル、クロム、ヒ素があります。実はこれもレアメタル。水に含まれているので、レアメタルというよりも人体に有害な物質の認識です。
特に、ヒ素は琵琶湖東岸の古琵琶湖層に大量に含まれており、滋賀県の土壌汚染として最も多く報告されている物質です。
<掘れば儲かる?>
琵琶湖東岸を掘れば、土壌から極めて高い確率でレアメタルのヒ素が検出されます。しかし、掘削して掘り出して採算ラインに乗るかどうかは別な問題。鉱脈の厚さ・面積など全く調査されていません。加えて、地上には建築物が多数。基本的な問題の解決が先ですから、現在は無理。
レアメタルについて、将来の方向性は決まりました。
ここで再び、三度登場するのがお役所の縦割り。
同じ海底を調査する所轄官庁をみれば、熱水鉱床は文部科学省、メタンハイドレート(燃える氷)は経済産業省。
Posted by
西日本技術の環境調査員
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07:28
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環境