2009年06月08日

こんなに勉強しても(中国の受験事情と就職状況)

こんなに勉強しても(中国の受験事情と就職状況)


今年の6月7日から中国の大学入試。大学周辺の1泊80~200元のホテルは超満員。「科挙」の歴史がある中国ですから、受験戦争は日本の類ではありません。
今回の上海旅行で、いろいろとお世話してくれた大学生の話をまとめます。彼は江西省出身の大学4年生で日本の企業に就職が決まっています。外国語学部の日本語学科で学び、1年間、招待留学生として大阪の大学に籍をおいていました。

写真は上海大学(国家重点大学)ですが、記事の内容とは関係ありません。この大学の建物は非常に洗練されています。

<江西省の受験事情>
江西省の人口は4,200万人。この省の有名なものは景徳鎮の陶磁器
大学受験生は浪人を含めて20万人。しかし、省外の大学の受入人数は630人。多くは広東・広州枠で上海枠はたったの23人。トップクラスの大学が揃う北京、上海への大学進学は極めて厳しい環境にあります。農村住民に対し差別的な戸籍制度を乗り越え、合法的に農村を脱出する方法のひとつとも考えられます。

<進学高校>
省内には重点高校と呼ばれる進学高校が9校あり、日本の高校と比較して極めて大きく、1学年の人数は1,500~2,000人、クラスは40~50クラス。ほぼ全員が寮生活をしており朝7時から夜11時まで徹底的に勉強します。
彼の通っていた高校からはベスト10の大学には10人前後、30位以内の大学にも10数人、合計30人前後が省外の大学へ。したがって、成績目標は10番以内。
しかし「小学生から同じような生活をしているので苦にならない」とか。

<何点とれば>
中国の入試は3+X。英数国が共通、理系は物理・化学・生物の総合、文系は歴史・地理・政治経済の総合で750点満点。全国トップ10大学は600点以上が必須

彼が通う大学の合格点は585点前後。知名度のある売り物の学部は600点以上。なお、少数民族や四川地震の被災地の受験生には10~20点の加算。2週ほど前、NHKの「クローズアップ現代」に出ていた華東理工大学(国家重点大学のひとつ)よりも1ランク上の大学です。

<1点の重み>
彼の入試の得点は589点(省内順位420番台)、その前後は590点で300番台、588点で580番台。省外枠が630人ですから、587点では不合格者が多数発生します。
中国の悪いところは人が多すぎる」と

<こんなに勉強しても>
今年の大学卒業生は611万人。昨年の卒業生のうち100万人が失業状態。さらに、経済状況の悪化が重なり、今年はさらに200万人の未就職者が出ると予想されています。

「今年の就職状況はどう?」
「外国語学部のうち、日本語学科は三菱UFJ銀行、三井住友銀行等100%、しかし、ロシア語、朝鮮語は壊滅、その他は6割程度。土木・建築は100%。自動車は電気自動車・水素自動車の専攻は100%。学部だけではなく学科による、ばらつきが大きく全体的に見ると7割程度ではないでしょうか。仕事が見つからないので大学院に進学希望する人が増えており、就職率としてはもっと上がると思います。復旦大学、上海交通大学も同じような傾向です。
しかし、下位ランクの大学は2割程度と聞いています」

懸命に受験勉強をやって大学に入学し、卒業しても就職がない現実から、受験生は大幅に減少とも伝えられています。受験バブルの崩壊です。


同じカテゴリー(海外&中国)の記事画像
おいて おいで パンダ ♪
タイからの手紙
タイの環境調査員
次のステージへ
タイは面白そうですね
馬来西亜(マレーシア)から来ました
同じカテゴリー(海外&中国)の記事
 おいて おいで パンダ ♪ (2011-02-26 07:28)
 タイからの手紙 (2010-06-19 08:28)
 タイの環境調査員 (2010-04-24 08:28)
 次のステージへ (2009-08-04 07:28)
 タイは面白そうですね (2009-08-02 07:28)
 馬来西亜(マレーシア)から来ました (2009-06-30 07:28)
Posted by 西日本技術の環境調査員 at 07:28 │Comments( 0 ) 海外&中国
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。