2009年11月04日

環境と農業


<緑の革命>
人類は太古の時代に狩猟文化から農耕文化に転換することで生活基盤の確保を成し遂げ、近代農業(緑の革命)では灌漑施設と肥料や農薬の開発、農作業の機械化、さらにそれに適した品種改良により生産性の向上を図ってきました。
これは人口に対する環境収容力の増加と捉えることができます。
近代農業は、非生物的な資源やエネルギーを投入することで、食物の収穫量を上げることができました。

しかし今や、投入する資源やエネルギーの方が得られる食品のエネルギーを上回っているといわれています。
投入しているエネルギーには、
農薬や肥料を生産するのに必要なエネルギー
農業用水を得るためのエネルギー
農機具類の稼動に必要なエネルギー
資源や製品を移動するに必要なエネルギー
などです。
環境と農業

(アメリカ中部穀倉地帯の農場の航空写真。地下水の利用による灌漑施設がかたどる円形の農場が無数に広がる。―写真は、googleマップより。)

収穫した穀物のエネルギーは、これらの投入したエネルギーに見合っているかを想像してみてください。
私たちは、いわば石油を食べているともいえるのです。

化石燃料を中心としたエネルギーの過剰消費が地球温暖化の原因といわれていますが、今や農業の分野でも省エネを意識した取り組みが必要です。

<課題を想像力で解決していく>
日本の農業の後継者育成や食料自給率の向上のためには、農業や食の消費のあり方自体のビジョンを打ち立てる必要があります。
さらにそのビジョンは、環境面でも持続可能性のあるものでなくてはなりません。
私が思うに、ビジョンの柱として「地産地消」を目指すことが重要と思います。
その土地に適したものを適した時期に作付けし、その近くで消費する。
生産者にも、消費者にも、そして環境にも優れた方法であると思います。
(近江商人の三方良しの考え方と同じです)

一方世界の農業に視線を転じれば、増え続ける人口に対処するため食糧生産を増やさなければならないことと、食糧を増産したくても環境負荷の壁に当たるというジレンマに直面する可能性が伺えます。

ジョン・レノンは「イマジン」で人類の平和を想像する歌を作りました。
農業も環境も、現況を重視する自己中心的な考え方から、広く社会や後の世代までを視点に据えた全人類的な想像力が求められています。
環境と農業

(写真は、宇宙航空研究開発機構の「かぐや」が撮影した地球の出。―宇宙航空研究開発機構ホームページより)

私たちは今後直面するであろう人口問題や農業問題に対して、環境の保全を中心とした生活様式や文化に切り替えていくようイマジネーションを豊かにしてかなければならないと思います。

                                               分析部: T.Y

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Posted by 西日本技術の環境調査員 at 07:28 │Comments( 0 ) 環境
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