2011年01月04日

キング・コーン

キング・コーン

伝統的な食文化を持たないアメリカ人は、ハンバーガーフライドポテトコーラの組み合わせで食事を取ることが多いようです。
キング・コーン
値段が安くて、しかも満足感が得られ、24時間営業のファーストフードの店があればいつでも買えるし、待つことなくすぐに食べることができます。
しかし栄養の偏りからくる肥満や成人病と隣り合わせであり、人生を豊かにする味覚も育ちません。
さらに恐ろしいのは、知らないうちにトウモロコシばかりを食べることになることです。

なぜか? 答えは映画「キング・コーン」にあります。

アメリカ、アイオワ州。キング・コーン
アメリカを代表する穀倉地帯。広がるのは一面のトウモロコシ畑。1日車を走らせても延々と続くほどの大きさです。
栽培されるトウモロコシはハイブリッド品種で、種苗会社が開発した1世代限りの種です。
その種には、特殊な農薬に耐性を持つようなDNAを遺伝子操作で埋め込まれています。
春になると、大型コンバインで土を耕し、即効性の肥料を撒き、種を蒔きます。

夏の除草作業は、トウモロコシに遺伝子操作で耐性を持たせた除草剤を撒けば、手間要らずのうちに終わります。
しかし収穫の秋を迎えても、その実はとても食用に向きません。栄養を無視して極限まで高めた高収穫率が第一だからです。
こうして出来たトウモロコシですが、販売価格は国際競争力を確保するためとても安く抑えられていて、農家は国から支払われる保証金で収入を確保しています。
収穫されたトウモロコシは牛の飼料にされます。普通の牧草だと生育が遅いというのが理由ですが、本来牧草を長時間かけて草を消化する牛にしてみれば、糖質が主成分のトウモロコシは胃酸過多になりがちです。そこで牛に抗生物質を与えて病気を防ぎ、短期間で大きくした牛を出荷します。
またトウモロコシは加工食品などにも利用されます。コーン油、コーンシロップ、植物性プラスチック、バイオ燃料などです。
キング・コーン
過剰に生産されたバイオマスは産地の肥沃度を低下させ、反面、肥育場周辺の環境汚染を引き起こします。
地産地消であれば正常な循環が、多量生産による資源の枯渇と多量消費による廃棄物の増加が引き起こす環境汚染は、工業製品であろうと農産物であろうと同じ結果をもたらします。


早熟の牛肉とコーン油で揚げたフライドポテトを食べ、そしてコーンシロップ入りのコーラを呑んだ挙句、アメリカ人は肥満や成人病と戦うのです。
その姿は、トウモロコシ漬けにされ胃酸過多を薬で押さえ込む牛に重なってきます。
そして残念ながら、トウモロコシの輸入最大手の日本人も...


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Posted by 西日本技術の環境調査員 at 07:28 │Comments( 0 ) 食べ物
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