2011年12月13日

環境基準項目の設定根拠


生活環境の保全に関する環境基準項目にBODやCODがありますが、それらはどのような根拠で採用され、設定されたのでしょうか?
以下に、手元にある資料からそれらの背景を探ってみます。

環境基準項目の設定根拠

河川の水質基準はBOD  
BODとは水中の微生物が汚濁物質を酸化分解するのに必要とする酸素量ですが、BODには20日間法や100日間法等があるのに、なぜBODの5日間法が環境の基準となっているのでしょうか。

確かに、5日間法は20日間法や100日間法に比べると時間と経費が少なくなるのは間違いありません。

一説によると、20世紀始めに産業革命により汚染された英国のテムズ川の汚染の程度を判定するための指標としてBODを検討した際、下水等が排出された地点から海までの流達時間が5日間であったためともいわれています。

あるいは、5日間で有機汚濁物質の酸化がほぼ終了すると考えられ、河川の有機汚濁物質の指標として使用されているともいわれています。

湖沼と海域の水質基準はCOD
湖沼においては河川より滞留時間が長いため、汚濁物質が長期間にわたる酸化分解に要する酸素量として化学的酸素要求量のCODが適しているとされています。

また、海域においては、塩化物イオンの影響から溶存酸素の測定が複雑化すること、水質汚濁が問題となりやすい内湾等の閉鎖性海域において、滞留時間の関係から短期BODでは環境状況を反映しにくいことから、代替指標としてCODが採用されているといわれています。

BOD、CODの採用根拠異説
しかしながら、ある人がある機関から入手した情報によれば、環境基準値を設定する際に参考として入手できたデータが湖沼・海域ではCOD値、河川ではBOD値だったことによるらしい。

これが真実なら、上にのべた理由は後付けなのでしょうか。
シンプルな採用根拠です!!!

また、CODは外国では二クロム酸カリウム法が主流ですが、わが国では過マンガン酸カリウム法です。

二クロム酸カリウム法の方が酸化力が強く、汚濁の指標としては後者より適していると思われますが、項目設定時に入手できたデータが過マンガン酸カリウム法COD値だったそうです。
シンプルな採用根拠です!!!

                                        若狭っ子

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Posted by 西日本技術の環境調査員 at 07:28 │Comments( 0 ) 分析
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